産学官の連携から生まれた、Abches
山梨大学で誕生した、ひとつの可能性
定位放射線照射治療においては呼吸性移動を伴う臓器の動きをできるだけ正確に把握する必要がります。しかし、これまでは高価で複雑なシステムが必要でした。こうしたなか、山梨大学医学部および同附属病院で、ひとつのシーズが誕生しました。胸部と腹部の体動量を機械的に測定し、患者さん自らが呼吸の深さや周期を安定的にコントロールできる装置です。構造は非常にシンプルで、しかも電気を使用することなく、高精度に呼吸がコントロールできたのです。
エイペックスメディカルとの連携
この装置に着目したのが、エイペックスメディカル(株)です。平成17年(2005)ころから山梨大学の発明をベースに何度か試作機を作成。互いの意見を採り入れながら付属病院で試験的に使用されるなど、その精度は次第に研ぎ澄まされていきました。
そして平成18年(2006)1月。装置は「呼吸モニタリング装置・アブチェス」 として、販売が開始されることになりました。
放射線治療の最前線が認めた精度と使いやすさ
シンプルな機構、操作の容易さ、患者さんにとっての使いやすさなどが高く評価され、アブチェスは業界では非常に高い評価を得ることに成功しました。平成19年(2007)度末までに計画を上回る59台を納入したのは、その証明といえるでしょう。
山梨大学は各種学会、講演会での発表を活発に行い、またエイペックスメディカル (株)も積極的に展示会などでアピール。産学官連携のシーズは大きく成長し、いまや定位放射線照射になくてはならない装置となっています。